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止まった時計
~止まった時計 動き出した秒針~
この話しは、各国で人の為に働き、命を落とした作業犬と飼い主によって捨てられ、死んで逝った犬達に捧げる物語です。
うちには、今、2頭のジャーマンシェパードがいます。
家の中で飼っているので、いつも私の近くで、夜の眠りに付きます。
1頭は、私の頭の上のシェパード用の布団で、もう1頭は、私の布団に入り添い寝状態で眠ります。
シェパード用の布団はちゃんと2つあるのに決して添い寝している1頭がそこで寝る事はないのです。
これには、理由があるのですが、その理由については、後で話す事にしましょう。
しばらくすると安心しきって眠る2頭の寝息が聞こえてきます。
「スースー」「スースー」静まり返った部屋の中に2頭の寝息に混じって、時計の秒針の音がコチコチと聞こえてきます。
頭の後ろで手を組んで、部屋の天井を眺めていると、ふと昔の事を思い出しました。
思えばあの日もこうだった。
あれから何年(どれくらい)経ったのだろう。
シェリー。
君と過ごした最後の日も、こんな感じだったね。
シェリーは、雄のジャーマンシェパードで、警察犬としても災害救助犬としても優秀な犬でした。
10年間、使役犬として、人の為に働き、その後、引退して家庭犬となりました。
シェリーと私は、10年の間仕事上のパートナーでした。
シェリーの母親は、シェリー達を産んで30日程で、母乳が出なくなってしまいました。
母乳が出なくなってからは、私が親代わりになって、哺乳ビンを使って、シェリーを育てました。
そんな事もあってシェリーは引退後、私の家族になりました。
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