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シェリーが私の家族となってからは、毎日の散歩はもちろん、私の貯まった休暇を全て使って、旅行をしたり、海辺の町を散歩したり、フラワーパークへ行ったり、今まであまり無かった自由な時間を取り戻すかの様にひたすら遊びました。
しかし、そんな楽しい時間は長く続く事はなく、突然、終わりを告げました。
シェリーが、私の家族になってから9ヵ月が経った朝の事でした。
私が朝、起きるとシェリーはいつも通り、私の頭の上で寝ていました。
私は、シェリーの散歩と朝飯の用意をする為に部屋を出ました。
私は、この時、シェリーが寝息をたてていない事にまったく気付きませんでした。
用意は出来ました。
しかし、いつもなら散歩に行こうと私の前に座って、尻尾を振るシェリーの姿はありません。
まだ、起きて来ないのです。
おかしい、何か変だ。
今までこんな事は、一度もなかったのです。
私は、シェリーの元へ戻りました。
「シェリー起きて」
おそらく私がシェリーを呼ぶ声は、叫び声に近いものだったと思います。
シェリーの姿は伏せて右と左の前脚の間に顔を挟んだ格好でした。
それは、いつものと変わらぬシェリーの寝姿でした。
ただ一つ違う事、それは、私の声を聞いても、シェリーが動かない事、その一点を除いては…
私は、シェリーの前で膝を付きシェリーに覆い被っていました。
触れたシェリーの体には、もういつもの温もりはありませんでした。
40㎏を超える、ぐたりとしたシェリーの体は、かなり運びづらかったと思います。
私のどこにそんな力があったのでしょう。
一人でシェリーを抱きかかえ、家の玄関の扉2枚を開け、車へと運び、車の鍵と車のドアを開けシェリーを車に乗せたのです。
たった一人で…
私は、シェリーを乗せた車を運転し獣医の元へ急ぎました。
勿論、シェリーの身に何が起こったかは、分かっていました。
しかし、そうせずには居られなかったのです。
受け入れたくなかったのです。
認めたくなかったのです。
シェリーの死を…
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