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この家は、北関東のさほど大きくもない街にある。
人は、この家を「夢想庵」と呼ぶ。
さてこの家の主だが、牟田口有三という人物らしい。
その風貌たるやなんともユニークである。髪はほとんど白く、髭も蓄えているがこれも白い・・・。髪も長めでいつもボサボサである。まあ、どう見てもイケメンではない。
歳は、60を幾らか越えたであろう。とにかくこの辺にはいないユニークな人物である事は、間違いない。
さて、申し遅れたが我輩は、このユニークな主人に飼われている・・・と言うか、野良猫だった我輩が勝手に同居してしまったのだが・・・。さりとて、このご主人様は、我輩を追い出す訳でもなく旧知の間柄のように餌をくれる。
おまけに我輩に名前まで勝手に付けてしまった。「逍遥(しょうよう)」と言う名前だ。さらに我輩が居ついた日から、逍遥!逍遥!と呼ぶのである。我輩には「ミケ」と言う名前があるのだが、居候の身ではご主人様に従うしかあるまい。かくてその日から、我輩の名前は逍遥となった。
これから、このご主人を観察しながら我輩がのんびりと小説らしき物を書いて行く事になる。
取り立てて面白い小説でもないが、御用とお急ぎでない方は、読んでいただけると我輩逍遥としては嬉しいのだが・・・・。
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