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『次は、演劇部『Show Time』の皆さんの披露です』
滑舌のいいアナウンサーが俺達の事を呼んでいる。
いよいよか・・・・・・、そう思うとじわりと手には汗が出て来て、今更になって心臓がバクバクと暴れだしやがった。
「落ち着け、俺・・・・・・」
自己暗示をかけるためにも、目をつぶり、無心になるよう心がける。
しかしそれもカーテン幕の向こう側のガヤガヤ声で杞憂に終わっていた。
そんな中、
「さぁみんな!ウチ達の一世一代の大勝負よ!今まで退屈してきた奴らに見せつけてやりましょう」
「ははは!はるっちは相変わらず緊張という言葉は無いね!」
「本当です。素晴らしい部長ですね、全く」
「あ、あのぉ・・・・・・。どうして皆さんそんなに元気なんですかぁ?」
俺1人緊張している中、他のメンバーはさほど緊張という言葉を顔に出さず、ある程度リラックスした状態でいれていた。
いつものノリで、いつもの会話。
これが経験の差というヤツなんだろうか?
いや、こいつらに経験なんて無かったと思うんだが・・・。
「どうしたの佐々中師匠?ぼけっとしちゃって?」
「ぼけっとはしてない。・・・・・・ただ考え事をしていただけだ」
「考え事ぉ!?あんたみたいな馬鹿はそんな事より台詞の確認でもしなさい!!」
「はぁ・・・そいつは悪かったな」
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