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ガミガミと隣が騒いでいるが軽く無視を決める。
いつもこんな感じだ。俺が軽くいじってやって、松浦がそれを突っ込む。
これが俺達のコミュニケーション。
中学生の時から変わらないスタイルだった。
「ぜぇぜぇ・・・・・・しっかし佐々中も明星学院とはね。驚いたぞ、合格発表でお前を見た時」
「別に驚く事じゃないだろ」
「いやいや、お前ならもう少し上の高校いけたでしょ」
実の所、明星学院はそこまで勉学に秀でてると言えない。
『学校は人情を育む場所であり、勉学だけがメインではない』
それがこの学校のスローガン。
良いように言えば簡単に合格出来る・・・所謂滑り止めの学校、悪いように言えば馬鹿の集まりだ。
少なくとも俺はそう考えてる。
「・・・・・・もしかして佐々中、お前も噂を聞いて来たのか?」
「質問に質問で返すが噂って何だ?」
「とぼけるなよ。お前もこいつを求めて来たんだろ?」
松浦は小指だけを上げた形で俺に見せてきた。
「んな訳無いだろ。実家から近かったからだ・・・・・・つーか、松浦はそれが目的なのか?」
「当ったり前だろっ!ここは可愛い女の子がいっぱいっていう噂なんだ。だから高校生活では絶対可愛い彼女を作ってみせる!」
こいつはいつもこう言って諦めを知らないが、ある意味大切な心かもしれないな。
苦々しく思っていると、俺の中の悪魔がいい案を出してくれた。
「・・・そうか。ならまず第一印象を重視した方がいい」
「第一印象?それは一体どういう意味だ?」
「どういう意味も何も、彼女を作ろうって奴が最初のインパクトが弱かったらいかん」
「ふむふむ」
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