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「最初が情けねぇと、後に格好良くしても、彼女が出来る機会なんてない」
「なるほど・・・・・・。それはそうだよな!」
「だからこそ、ここで練習しよう」
「練習?」
「あぁ、練習だ」
鞄を下ろして、松浦にも下ろすように促す。
何故そんな事をするのか理解してはいないようだが、とりあえず鞄を下ろしてくれた。
「さて、じゃあ女の子と出会った時の事を想定して台詞を喋ってみろ」
「出会った時か・・・・・・」
「そうだ。最初何を言うかで印象がグッと変わるからな」
「なるほど・・・・・・。じゃあ、」
「ちょっと待て。やるなら俺から背を向けて喋ってくれ」
「はぁ。何で?」
「よく言うだろ。男なら背中で語れ!って。それに後ろ姿で多くを語る奴ほどカッコイイ奴はいないって言われてるぞ」
「マジか!そいつは知らなかったぜぇ!」
そりゃあ知らないだろうな。後半なんて俺が今考えたんだから。
だが松浦は気付かないどころか、偽情報を本物だと感じているらしく、凄く嬉しそうに後ろを向いて語り出していた。
「・・・・・・実は俺、君を一目見た時から運命を感じていたんだ。そう、それはエジソンが大海原でアメリカ大陸を見つけ出した運命のように」
「例えが分かりづらいし、それに大陸見つけたのはエジソンじゃなくてコロンブスだ」
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