プロローグ

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全開にした窓から爽やかな風が吹いてくる。 日差しは柔らかく、包み込むような暖かさだ。 三月もすでに後半。 少し前までは刺すような寒さの日が続いていたが、最近は暖かい日が多くなってきたように思う。 そんな、普通ならとても気持ちのいい朝……の、はずなのだが。 「…………」 「……………」 「………………」 「…………………なんか喋れどあほう」 「ぷげらばっ!?」 休日にたたき起こされた怒りや寝起きから何故こいつと顔を合わせねばならんのだなどなど怒りを込めた拳を鳩尾にお見舞いしてやる。 「ひどいじゃないかくーちゃん!?」 「ええい抱き着くな鬱陶しい!!しかもくーちゃん言うなっ!!」 「ぐぼあっ!?」 本日二度目、本作開始一ページ目にして二度も殴られているコイツは葛西武(かさい たける)。 中学時代からの腐れ縁で何かとつるむ機会も多く、高校に入ってからもそれは変わらず。 人付き合いの苦手な私にとっては唯一の親友と言ってもいい。 ……調子に乗るので絶対親友とは言わないが。
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