プロローグ

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中学の頃から大きくなりはじめた胸は、今ではさらしを巻かないとばれてしまうほどのサイズになっている。 この前計った時は確かCだったか。 あと、一応こんななりでもモノは付いている。 さっき武が下に降りておくと言ったのはこういう私の事情を気遣ってのことだ。 一応私自身男として生活しているつもりだが、無意識下でやはりどこかに女として胸を見られるのは恥ずかしいと言った感情を覚えるのかもしれない。 私の場合小学校高学年あたりから徐々に膨らみはじめた胸は自我とかアイデンティティとかいったものを歪めているのだと思う。 別に母を怨む訳ではないが、よく女装させられたりしたのも理由にあるのかもしれない。 たまに自分が男なのか女なのか、よく分からなくなるのもきっとアイデンティティが確立されない、半陰陽という状態で育ったからだろう。 性別というのは自己の形成においてやはり不可欠であり、第二次性徴を半陰陽状態で過ごした自分は男と女の境界線がひどく曖昧なのだ。 ちなみにどうして武が私の事情を知っているのかというと……話せば長くなるから後々その時のエピソードも含め説明しよう。 武にはそれ以来体育等で着替える時にはそれとなくフォローしてもらっていたりしるので感謝している。 ……まあ、たびたび私に抱き着こうとしてくるのでよく殴り飛ばしているが。 「ん、よしこんなもんか…」 あまり待たせては悪いなと呟き、さらしを巻きジーンズとTシャツを着た私は階下へと向かった。
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