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「こ、こいつ……っ、できるっ!!」
「間違いない、奴はネ申だ!!」
「64HIT!?智代炸☆裂っ!!」
「ぶはっwwwww春原ざまぁwwwww」
「………うわぁ」
どうやら新台の回りはとても熱くなっている様子。
正直言ってることが意味不明だった。
異様な空気に堪えられなくなった私はもう暫くどこかで時間を潰そうとその場を離れる。
「それにしても……どこで時間を潰すか」
当てもなく足を進める。
ふと目についたのは新刊の告知ポスター。
本屋ででも時間を潰すか。
幸いゲームセンターはショッピングセンター内にあり、四階は本屋になっている。
そう思い立ちゲームセンターを出てエスカレーターへと向かう、その途中。
「ひっく……ひっく……」
「ん?」
エスカレーター横の通路、トイレへと通じる道の前に設けられた椅子に座って泣いている女の子を見つけた。
回りの人達は面倒事を嫌ってか見知らぬ振りをしている。
「ひっく……お姉ちゃん……」
「お姉ちゃんとはぐれたの?」
「え……?」
俯き泣いていた少女が顔を上げる。
見知らぬ人に話し掛けられてか、少女の顔は――短い髪を黄色のボンボンで左右に縛った可愛らしい女の子だ――驚きで染まっていた。
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