プロローグ 日常

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部屋の中は外の寂れた様子からは想像もできないほどこじゃれている 何故かカウンターがある点から言っても間違えてバーにきてしまったかのような様相だ 『……おはよう、ございます』 不意に現れた男性は大体20代中頃だろうか、精悍な顔立ちである 瞳が赤い以外は髪も羽織っているコートも全て黒い その為、此処ではブラックというあだ名で親しまれている 彼が1日1回飲まなければいけないもの、それすらも示しあわせたかのように"ブラック"コーヒーである 『あ、おはよー』 カウンターの下からひょっこり顔を出して笑うのは此処のボスだ 見た目はブラックよりも若くしか見えない…が、実はもう三十路も間近の彼 シルクハットとスーツをしっかり着こなす様はボスの品格を漂わせている 彼が飲まなければならないものはワイン、此処がバー形式なのはそのせいかもしれない 『相変わらずくるの早いねー』 えらいえらいー、と子供をあやすように前に座ったブラックの頭をなで始めた 『……』 が、当の本人は全くの無反応で大量の書類を猛スピードでまとめ始める 『おっはよー!』 今元気よく入ってきた18、9ほどの少年は通称ライト 自慢の金髪を毎日セットし、耳や指に大量のアクセサリーをしてから出勤する 此処のムードメーカー的な存在でいつも明るい 彼が飲むのはオレンジジュース、これに関して本人は子供っぽいと少し気にしているようだ …此処までを彼ら1人1人の視点で語っていただこう
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