プロローグ 日常

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毎日、一番に出勤する 声を振り絞って挨拶をする あの人の目の前に座る これだけのことなのに、俺はどっと疲れてしまう 今日もそうやって始まるんだ 『……おはよう、ございます』 『あ、おはよー』 にっこりと笑いながらカウンターから顔をだすあの人を見る それだけでもう倒れそうだ 一目みた時から、あの人は眩しすぎて 能力を最大限にいかせる仕事につきながら、何処か満たされなかった俺は 気付いたら此処にきてしまっていた 『相変わらずくるの早いねー』 …今日は、違う 違った 一瞬何をされているのかわからなくて固まる 頭を、撫でられている? 気付いて、また固まった ああ、この人は気付いているのだろうか?俺の気持ちに …気付いているはずがない 気付かれては、いけない 気持ち悪いと思うだろうか、こんな俺を 貴方に触れたいと思う、こんな俺を 傍にいられるだけでいいんだ、だから… 俺は書類を取り出し、自分を誤魔化すように、"いつもの通りに"仕事を始める
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