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『さ、さすが俺様だぜ…。なかなか可愛らしい恋をするじゃねえか。』
一人(一匹)のカラスは心の中で呟いた。
自分が動揺しているのを落ち着かせる為、動揺なんかしていないと言い聞かせる為…。
カラスはある人間の方に目をやった。
その視線の先には、グラウンドの片隅にいる集団、ソフトボール部の中の一人。
その娘は、活動しやすい為にショートヘア、そして何よりも可愛らしい顔をしスタイルもかなり抜群。
誰にでも好かれるような優しい性格、気品。
そんな上品な面の裏には、軽く下ネタを言ってしまう少々残念な娘。
そんな娘に、カラスは恋をしてしまったのだ。
カラスはカラス。
人間は人間。
恋する相手は、必ず同じ種別と決まっている。
こんな恋の実なんてどうせ実らない、カラスは自分にそう言い聞かせ、空を飛ぶために発達させた両翼を広げた。
『俺様には、もう許嫁だっているんだ…。諦めろ、諦めろっ!』
カラスは森へ飛んでいった。
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