俺様の初恋

3/4
前へ
/17ページ
次へ
『さ、さすが俺様だぜ…。なかなか可愛らしい恋をするじゃねえか。』 一人(一匹)のカラスは心の中で呟いた。 自分が動揺しているのを落ち着かせる為、動揺なんかしていないと言い聞かせる為…。 カラスはある人間の方に目をやった。 その視線の先には、グラウンドの片隅にいる集団、ソフトボール部の中の一人。 その娘は、活動しやすい為にショートヘア、そして何よりも可愛らしい顔をしスタイルもかなり抜群。 誰にでも好かれるような優しい性格、気品。 そんな上品な面の裏には、軽く下ネタを言ってしまう少々残念な娘。 そんな娘に、カラスは恋をしてしまったのだ。 カラスはカラス。 人間は人間。 恋する相手は、必ず同じ種別と決まっている。 こんな恋の実なんてどうせ実らない、カラスは自分にそう言い聞かせ、空を飛ぶために発達させた両翼を広げた。 『俺様には、もう許嫁だっているんだ…。諦めろ、諦めろっ!』 カラスは森へ飛んでいった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加