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スカートは短めに、それから長めのカーディガンを着て学校に行く。そうすればいつも門の前に立っている生徒会長の翔大くんはわたしに構ってくれるから。翔大くんは、優等生だから、わたしをちゃんと叱ってくれる。
「その丈、だめだっていったでしょ」
「いいじゃん、かわいいでしょ」
「…俺そういうの苦手なの知ってる?」
翔大くんは、恋とかが苦手だ。ていうか奥手なんだと思う。小学はまだ、ちょっと賢いくらいの男の子だったけど、中学三年間は勉強しか見てこなかったみたいだし(すんごいモテるのに、もったいないなあ)そんなわたしは、小学校から高校まで、翔大くんと一緒。(高校は、翔大くんがすんごい賢い高校に行くっていうから諦めかけた。でも一緒に行きたかったから)
「んふふ、もう予鈴なるから教室いくね」
「あ、ちょっと日和ちゃん!」
ひらりと翔大くんをかわして、教室へ歩いていく。ちょっと歩くと後ろから、とん、と肩を叩かれる。
「日和ちゃん、教室まで一緒にいこ?」
ずっと、翔大くんはわたしのことを日和ちゃんって呼んできた。それは今もかわらなくて、やっぱりちょっとおかしくて、かわいくて。くすりと笑ってしまう。
「え、なんかした?」
「んふふ、別に、早くいこ?遅刻しちゃうよ」
「まじかやっべ」
そういいながらも歩くペースをわたしに合わしてくれている翔大くんは、優しいと思う。こんなんだから女の子にモテるんだよ。本人はまったく気づいていないけれど。
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