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否定なんて、今さらだけども。
「おやおや、阿良々木さん。心の中では理解しているようですが」
「お前は他人の心中の呟きを読めるのか!?」
「呟き……ついったー、ですか?」
「知ってるのか!?」
あの機械音痴の八九寺が!
「いえ、誰かが言っていたのを聞いただけです」
「なんだよ。つまんないオチだな」
「というかですね、阿良々木さん。他人だなんて悲しい事を言わないで下さいよ」
「ああ、そうか、もう既に籍を入れてるんだったな」
「その切り返しは予想外ですっ!」
「で、八九寺──いや、真宵」
「私の名字が阿良々木になったかのような言い方はやめて下さい!」
「新婚旅行はどこに行く? やっぱ無難に定番の──」
「勝手に話を進めないで下さい!」
「あ、悪い悪い。そうだよな、僕ばかりじゃなくて、真宵の意見も訊かないとな」
「最早ナチュラルに名前で呼ばれてます!」
「ふ、僕を誰だと思ってるんだ、真宵」
「少なくとも変態さんだと」
「惜しい。お前との新婚生活を脳内でシミュレーション毎日欠かさずやってる男だ」
「変態に近いというのは認めるのですか!?」
「そりゃあな。客観的に見たらそうだろ?」
「じゃあやめて下さい!」
「今日はしなかったじゃんか」
「『今日“は”』が気になります……」
「大丈夫、次は今日の分もセクハラしてやるから!」
キリリッ、と。
僕はキメ顔でそう言った。
「いよいよ私の貞操がピンチです!」
「はっはっは。僕も初めてだが、お前につらい思いはさせないぜ!」
「阿良々木さん、貴方の中に神原さんが入ってたりしませんか!?」
「僕を変態だと!?」
「さっき自称していましたよね!?」
いっけね。
掛け合いに熱くなりすぎて、自分の発言を忘れちゃったっけ。
反省反省。
「阿良々木さん? つまり、今までの発言は全て、掛け合いのためのボケだとおっしゃるのですか?」
「当たり前だろ、真宵」
「その割には私に対しての呼称が戻っていませんが」
「ああ、籍を入れたってのだけは本当だ」
「勝手に何してくれてるんですか!」
「素直になれない八九寺のためを思って、つい」
「つい、じゃあありませんよ阿良々木さん!」
「……けど、出しに行ったら、何故か『帰れロリコン』って言われたんだ……うぅ、なんでだ……」
「当然の結果です。というか、本当に出しに行ったのですか!?」
「なんでだよ……僕は、僕はこんなにも八九寺を愛してると言うのにっ!」
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