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この仕事に就いた最初はスイートルームも迎賓館もテレビでしか見たことが無くて、正直足がすくんでいた。
しかし、数をこなすと人間とは恐ろしいもので、非日常も日常になってしまう。
要するに、慣れる。
豪華なロビーも、セキュリティの厳しい最上階の部屋も、会社員が朝八時にタイムカードを押すのと同じになる。
見たことも無い調度品や洗練されたホテルマン。
見渡す限り眼下に広がる霞んだ街にきょろきょろして先輩に窘められた新人のころが懐かしい。
まぁ、新人のころと言っても一年前の事なのだが。
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