映画館

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メガネザルはどんどんと元気になっていく。 最初は少女から逃げる用に走り回っていたけど、 今では寝ても覚めても一緒に行動をしている。 メガネザルは、よく少女の眼鏡を奪っては掛けていた。 メガネザルが眼鏡を掛けていた。 少女はそれを見て、 いつも怒りながらも笑っていた。 そして少女は 中学生になり、 高校生になり、 大学生になり、 実家から大きい町へと引越した。 少女は、大人の女性になり一人暮らしを始める。 メガネザルとは離れて、 仕事を始めてから約3年が経った。 仕事が忙しく、 実家には一度も帰ることがなかった。 ある日、母から電話が来た。 メガネザルが亡くなったって、 少女は、急いで実家に帰った。 最終の飛行機に乗り、 電車に乗り、 バスに乗り、 メガネザルと暮らした家まで走った。 小さい頃の楽しかった記憶を思い出しながら… 少女は学年が上がっていくにつれ、 メガネザルから離れていった。 メガネザル以外の友達が増えていって、 人間の友達と遊ぶ事ばかり優先して、 少女から離れた。 実家から出るときも、 メガネザルは少女のメガネを奪い、 メガネを掛けた。 少女は怒りもせずに、 軽く手を振り 家を後にした。 それが最後に見たメガネザルの姿。 家に着き、 息を切らしながら、 仏間に入る。 メガネザルがいた。 色が変わったバスタオルの上に横たわり、 今にも目が開くんじゃないかと思わせる雰囲気を出し、 あの日、 少女から奪った眼鏡をかけたまま眠り続けていた。 映画は終わり横を見ると、 彼女は号泣していた。 そっと手を彼女の上に乗せると まなみ「……あの眼鏡はメガネザルに似合ってないょね?」 タカは思った、 なぜこのタイミングでそれを聞く?
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