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しばらく茫然としていた神谷だが、徐々に落ち着きを取り戻した。
『もしも~し。大丈夫ですか?』
神谷は、倒れた人物に声をかけたが、神谷の声は薄暗い部屋の中に吸い込まれるだけだった。
(やっぱり、死んでるか。)
神谷は、倒れた人物が冷たくなっているのを手のひらで感じ取った。
さらには動いているはずの物が動いていないことも確認できた。
(とにかく警察に電話だ。)
神谷は携帯電話を再び取り出した。
(何で圏外なんだ?一体ここは何処なんだ!?)
神谷はこの状況を打破することが出来なかった。
神谷には、只目の前に倒れている人物を見ることしか出来なかった。
(それにしても、一体ここで何が起きたんだ?まさかおれも巻き込まれたのか?)
ふと、神谷はあることに気がついた。
(何でおれの服を着ているんだ?)
横たわる人物の服装は、今日神谷が身に付けていた物とすべて一致していた。小物に至るまで全てがだ。
(どういうことだ?こんなことがあり得るのか!?)
神谷はひどく動揺した。
何故なら横たわる人物が身に付けられるはずがないものが、身に付けられているからだ。
(何故だ?この上着は彼女の手作りで、この世に一つしかないはずなのに!?)
神谷は、恐る恐る横たわる人物の顔を覗きこんだ。
(!?どういうことだ!?)
神谷は衝撃のあまり声を発することが出来なかった。
何故なら目の前で倒れている人物は、神谷自身だったからだ。
第二章 完
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