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 気付けば一人、立ち尽くしていた。  まるで世の果てのような所に、一人だけだった。  ここはどこだ? 俺は何をしていた?  自問の答えは虚しく、分かりきっていたが、認める訳にはいかなかった。  それを幼いと、未熟だと、そう言うのならば――そう、その通りだ。俺は何も出来ない青二才だった。  俺はその日から根無しになった。剣と、鎧と、僅かな食料を携えて街から街へ。混乱と恐怖が拡がり、少しでも多くの剣が必要とされているからこそ、俺は今日まで生きてこれた。  そう、乱世の残した傷跡こそが、俺を生かした。皮肉なものだ。乱世こそが、俺から全てを奪ったというのに。  ――そう、何という皮肉だろうな。乱世こそが、俺とお前を引き合わせたのだ。宿敵として。そして、一対の存在として。  俺は、どうすればいいんだろうな? 今更になって、お前を生かしたのは間違いだったのかもしれないと、そうも思っている。それを願ったのは他ならぬ俺自身だというのに。  なあ、俺はお前のことが分からない。なぜお前はあんなことをしたんだ? なぜ――俺はお前に惹かれているんだ?  ブリュンヒルド。夜の女王の娘。国を灼いた魔女。ヒトの敵。何故?
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