紺碧の愛しかた

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人間なんて皆同じ。 表ではいい人を演じて笑いたくもないのに無理矢理笑みを作る。 笑いたくなけりゃ笑わなきゃいい。 矛盾だらけで現金な奴ばかり。 金があれば大体の事が収まりつく。 最悪な話、人を殺したって金がありゃ牢獄生活なんてしなくて済む。 俺の父は金と権力を力任せに振りかざし、事を思うがままにして来た。 俺がまだ幼い頃、母が居た。 だが、母は愛のない暮らしには耐えられないと家を出ていった。 なんの事はない。 自分だって愛なんて言葉、俺に掛けた事すらないくせに。 金と権力。 それに知能や美。 それを兼ね備えて居れば群がる輩も数え切れない位に近づいてくる。 だからか、女に困った事はない。 少しでもいい顔をし金をちらつかせれば直ぐに舌を出し甘えつく。 女なんてただの性欲処理でしかないんだ、俺にとっては。 別にそれでも構わない。 近づいてくるお前らだって、俺を利用しているだけだろ? この顔と金に。 愛なんてどこにもない。 だから、俺は誰も信用しない。 誰も愛さない。 俺は、決められた人生をただ歩くだけ。 上手く、上手く。 自分を偽り続けるだけ。 それが俺の人生なんだ。
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