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過ぎ去る外の景色は既に真っ暗で、周りの住宅の明かりも消えていた。
「加奈ちゃんは元気か?」
宮川は運転しながら草薙に話し掛けるが、草薙は振り向く事もせず、車の外を眺めながら答えた。
「…元気ですよ、あの人もまだ若いですから。僕見たいなお荷物が居たら、来る出会いも来なさそうですから」
「ははっ…確かにな」
宮川は笑いながら言った。
加奈とは、こいつの面倒を見て居た仙の従姉妹で、仙よりも四つ年上のしっかりしたお姉さんである。
「叔父さんの方は、どうなんですか?」
草薙の唐突な質問に戸惑う宮川。
「どうって?俺は、元気だけど」
「別に叔父さんが元気かどうかは聞いて無いですから…そんな事は、どうでも良いですから」
草薙は溜め息を吐き、相変わらず音の強弱は無く無表情で答えた。
宮川はその冷たい言葉に再び拳を握った。
この野郎…。
「叔母さんの事ですよ、相変わらずですか?」
宮川は頭をボリボリ掻きながら内ポケットから煙草を取り出した。
「ちっ…」
宮川は舌打ちしながら煙草の箱を潰し、再び潰した空箱を内ポケットに直して、他のポケットや車の中を探したが…他に煙草は見つからなく宮川は、諦めながら溜め息を吐いた。車内のしばらくの沈黙を破り、宮川が口を開いた。
「…相変わらずだよ」
宮川はそれだけ言い放った。
「そうですか」
草薙もまた一言で返し、車内はまた沈黙が続いた。
しばらくして、車は住宅街に入り…一軒家の車庫に車を停めた。
「着いたぞ…。ゲッ!!もう2時過ぎじゃねぇか!!」
宮川は車を車庫に停めて、時計を見るなり一人で喚いて、げんなりしていた。
草薙はそんな宮川を横目で見ながら、少し鼻で笑った。
瓦屋根で出来た二階建ての一軒家は、少し年期が入っており、所々腐食しボロボロと言った感じで、久しぶりの母親の実家は、昔に見た記憶より少し小さく感じた。
(ここが、今日から住む家か…)
草薙は玄関先から家を見上げながら、心の中で思った。
「荷物は、先に2階の部屋に届いてる。
今日はもう遅いから、早く寝ろよ」
宮川は言いながら、家の戸を開けて先に入って行った。
2階の自室内。
先に届けられた、ダンボールが積まれていた。
(何だか疲れた。明日から学校だ…今日はもう寝よう)
必需品だけをまとめて入れたダンボールだけを開けて、窓際に置かれたベッドに倒れ込む様に、深い眠りに着いた。
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