『その瞳は、何を映し出す…』

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私立月詠弥学園…職員室。 現在時刻「7時30分」 「あ~あ…」 深い溜め息と共に、自席の机で気怠そうに肘を付き、今朝行きがけに自販機で購入した、缶コーヒーを啜る一人の女性教師。 私の名前は「柳 美砂」 歳は…秘密である、テヘッ。 私は、今日から2年F組を受け持つ。 顧問は現代国語である。 ちなみに、学園内では生徒に「美砂ちゃん」とあだ名を付けられている。 あ~あ…結局、春休みにも出会い無しか。 畜生~ッ!!! 「柳先生…柳先生…」 「はいっ?」 隣から呼ばれる声に私は、寝ぼけながら返事を返して振り向いた。 「柳先生、しっかりして下さいよ…生徒に教えるべき、私達教師がそんな顔してちゃ駄目ですよ~」 「あ~…白野先生、すいません」 柳は座り直し、背筋を伸ばし缶コーヒーを飲みながら隣に座る白野先生を横目でチラッと見て思った。 隣の先生は、同期の白野先生。 顧問は英語で、その美貌とそのスタイルは男子生徒や男性教員をも魅力する、学園一のマドンナ教師的存在。噂じゃ、どこかのエリートイケメンと交際中らしい。 畜生~ッ!悔しい事この上ない。 「くぅぅ~…よしッ!!」 私は、飲みかけの缶コーヒーを一気に飲み干して、眼鏡をかけ直し気合いを入れた。 何せ今日から、新学期だ。 しかも、私のクラスには転校生がやって来るではないか…しっかりしなければ!! 私は両の手をギュッと握り締め、意気良く立ち上がった。 ガタッ!…ガタガタ~ン!! 生しに私の椅子が倒れ職員室中に響き、他の先生方の冷た~い視線が一気に集中した。 「あひゃ~…すいません!!!」 柳は深々と頭を下げた。 あ~もう…幸先の悪いスタートだな。 柳は少し溜め息を吐きながら、倒れた椅子を立て直した。 「柳先生…柳先生…」 「はい?」 職員室出口前に立ち、私を呼びながら手招きをする、我が校の最年長の物理の小田原先生。 「転校生が来ましたよ」 私は身なりを整え、出口に足早と向かった。 「この人が、今日から君の担任の柳先生だよ」 目を開けてるのか目を開けてないのかとめちゃくちゃ際どい位に顔が皺くちゃの小田原先生は言った。
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