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キーンコーンカーンコーン。
「只今から全校朝礼を開始します。
全校生徒は速やかに、体育館に集合して下さい」
予鈴と同時に校内放送は学校中に響き渡る。
「おっと!!今から全校朝礼だから…教室は後ね、案内するから着いて来て」
柳は草薙を連れて、体育館へと向かった。
月詠弥学園は、近年八神市の人口増加に伴い、三年前に設立された新設高等学校で、桜並木と小川を挟んだ真っ直ぐな遊歩道と隣接する道路の先に、綺麗なレンガで敷き詰まれ優美にそびえ立つ。
体育館講堂内。
体育館講堂内の中央に列を成す様に並べられたパイプ椅子に座る、たくさんの在校生達。
広々とした体育館はまだ真新しい木の香りを漂わせ、体育館講堂内は既に在校生で埋め尽くしていた。
「それじゃ~…君は、ここに座ってて」
柳は草薙を適当に空いた椅子に座らせ、職員用座席に座った。
「只今より、全校朝礼を開始致します…それでは、校長先生のご挨拶からお願いします」
眼鏡を掛けた黒髪の女子生徒は壇上から降り、変わりに少々威厳のある高年齢で小肥りのおじいさんが壇上にゆっくりと上がった。
「え~皆さん、おはようございます。
え~今日から我が校に…新しく新入生が加わり、目覚ましく輝かしい日々をこの学校で、え~…」
「ったく、毎回校長の話長げ~よ」
草薙の前方で小声で話す上級生と思われる男子生徒。
それに釣られて、周りも小声で話し出す。
「え~今日は皆さんに、大切な話しをしようと思います。
突然ですが…皆さんは運命を信じますか?
ちなみに、私は信じてます」
校長の突飛な質問にざわめく生徒達。
「え~運命とは様々で、運命は変えられないと説を提唱する偉人も沢山居ますが…
私は運命とは自分で決める物なのだと思います。
え~しかし、その場の妥協や諦めは、自らその道のりと可能性を閉ざしてしまいます。
え~だから皆さんには、自分に自信を持って、今を精一杯に努力して学んで下さい。
そして後悔の無いように頑張って下さい。
運命をどう変えるかは自分自身なのです」
「運命か…」
草薙はその言葉を口にし、頭の中で無為にその言葉が木霊する。
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