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(クッソ…重いな…)
爆発で意識を取り戻した僕は、体を覆い被さる木製の扉を退かした。
これ以上、ここに居たら酸欠状態どころか…焼け死んでしまう、早く…早く外へ。
少年は少し冷静さを取り戻し、妹の早苗の部屋に足を踏み入れた。
「あっ…あ…」
少年は目の前の現実に言葉が出なかった。
壊された現実、破壊された日常。
少年はゆっくりとその場に崩れ堕ちる。
込み上げて来る感情に押し殺されそうになり、
少年は激しく嘔吐を繰り返した。
少年の目に写るのは、娘を抱き守るように焼け死ぬ両親と妹の哀れな姿であった。
少年の目からゆっくりと涙が落ちると同時に、
外では雨がポツン…ポツンと降り出し始めた。
降り出した雨は強みを増し降り続けた。
それはまるで大粒の涙の如く。
「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」
降り続く大雨の中に、少年の悲痛な涙の咆哮とサイレン音だけが夜の町に、悲しく響いて木霊していた。
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