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コンコンコン。
不意に、扉をノックする音が部屋に響く。
重たい頭を持ちあげ、どうぞ、とシフォンが眠たそうな声で告げると、二呼吸ほど後に扉が開かれる。
「失礼いたします」
扉から現れたのは、見かけ七十路の男性だった。
内面の優しさが滲みでているような、普通にしていてもどこか微笑んでいるかのような印象を受ける表情。
頭髪は綺麗に白く染まり、燕尾服に身を包んでいる。
長きに渡りオルティウス家に仕えてきた、執事長のベル・クリスタルであった。
「おはようございます、シフォン様」
表情に似合った穏やかな声でベルが挨拶をする。
「おはよう、ベルさん」
シフォンもそれに笑顔で応える。
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