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それからしばらくの談笑の後、メイド達の手により朝食が運ばれてきた。
焼きたてのロールパンに数種類の野菜がまざったサラダ、香ばしい匂いのベーコンエッグに白いポットに入った牛乳。
一般家庭と変わらない普通の朝食メニューであるが、使われている素材はやはりどれも一級品である。
「父上はもう仕事へ?」
と、不意に放たれたシフォンの問いに、
「ええ、最近忙しいみたいね」
エレンが答える。
何気ない家族の会話。
が、そこに込められた意味は"普通"ではない。
シフォンの父親はある特殊な仕事に就いている。
その仕事の都合上、父親はほとんどを家で過ごすのだが、時々今日のように外に出る事もある。
そして彼が外に出る時、それは何かしらの"危険"が迫っている時なのだ。
ここ数日毎日のように外に出ている、しかもこんな朝早くから夜が更けるまで帰ってこない事も少なくはない。
シフォンの胸に言いようのない不安が渦をまく。
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