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とある街にある、陽光が入り込む隙のない裏路地。
そこに、少年はまたかと呆れたように突っ立っていた。
Tシャツにジーンズとラフな格好をした少年は呆れたような表情で黒い髪を困ったようにかき、口を開いた。
「……見逃しちゃあくれませんかね?」
そう言った彼の周りには数人の、がらの悪そうな男達。その表情から察するに、少年をここから逃がす気などさらさらないようだ。
「はぁ……まあ、そうですよね。……この不幸な俺がこの状況からすんなり逃げられる訳ねえよなぁ」
はぁ、と小さなため息をついた少年の口調と表情が徐々に変わっていく。それに気付いていない、少年の正面にいた男は少年に向かって、拳を振り降ろした。
その一秒後、少年に向かって拳を振り降ろしたはずの男は少年の数メートル先に吹き飛んだ。
男を吹き飛ばした少年の両の手には、鈍い光を放つ銀色のメリケンサック。
「急ぎの用事があるから手短に頼むぜ?」
右手首を返して拳を開き、自らの前方に突き出す。ちょいちょいと指先を軽く曲げ伸ばしして見せると、少年は周囲にそう告げた。
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