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「うちの事を信じていないカケルっちに質問や。日本には現在何人の魔法使いがおると思う?」
「さあな。そもそも魔法使いなんぞに興味はねーし、成りたいとも思わねえよ」
「夢が無いねんなー」
「あってたまるか、俺達もう二十二だぞ? ガキじゃああるまいし・・・・・・」
少しむすっとした顔で悪態を付いてくる香織。だがいないものは――。
「約――五百万人や。その内、未成年の魔法使いは約十万人」
「そんなにいるのか!」
魔法使いに興味の無かった俺でもそれには驚かざるを得なかった。嘘だとしても、てっきりもっと少数精鋭かと思っていたからだ。
「現在、日本の総日本人人口が約1億3千万人として、二十六人に一人は魔法使いがおる計算やな。うちを含む未成年の魔法使いは千三百人に一人。中学校で例えると、二校に一人の計算や」
こうまで自信を持って言われると、なんだか本当に魔法使いが存在しているような錯覚に陥ってしまう。
「もしそうだとすると、身近な人が魔法使いだったって言う可能性も」
「――勿論、大いにあんなー」
「それは夢のある話だな」
胸を張ってそう論じる彼女を見て、なんだか、今だけでもこの話を信じてみてもいい気がしてきた。
俺の中の魔法少女像を頭にめぐらす。なぜかファンシーな杖を持った羽の生えた少女が浮かび上がった。
「でも――マンガかアニメの偶像と現実は別物やで。」
「別物(べつもの)か」
「別物(べつもん)や」
「背中から羽は」
「生えんな」
「夜な夜な現れる怪物を退治したり」
「せーへん」
「呪文を唱えて炎を出したり」
「無い無い」
俺がため息を吐いて落胆していると、若干虚ろ気味に香織が愚痴を吐く。
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