伝説のバンド「酢豚にパイナップルズ」

開演

メゾン「この曲が出来るまでの経緯を話しましょう。２ヶ月前、僕らはもう解散を決めていました。流石に歳ですからね。僕も７８歳になりましたし(笑)」

客席「(笑)」

メゾン「で、みんなでアルバム作りに励んでいたんですけどね、どうも僕だけ仲間外れにされてる感がありましてね……原因は何となく分かっていました。『僕だけまだ自毛が黒かった』からだと……。何だか居づらくて、みんなを信じられなかったんです。その時の気持ちを込めて作ったのが、この『疑心暗鬼ボンバー』です。この曲をみんなに聴かせて、僕もまだまだやれるんだってところを見せてやろうと、意気込んでスタジオ入りしたら何故か真っ暗でした。困惑していると、いきなりミドリィが『ハッピーバースデートゥーユー～……』って歌い始めたんですね。その後にみんなも続いて大合唱……。その日は僕の誕生日だったんです。歌い終わると灯りが点き、そこには７８本のろうそくが立った誕生日ケーキが……。思わず涙が出ましたよ……。ネロが『さぁ、火を消して！食べようぜぇ！！』と言ったのですが僕はこう返してやりました。『今の演奏何か足りなくなかったかい？寂しくなかったかい？…………ベースが居ないだろ？』ってね。そして今度は僕も加わって一緒に『ハッピーバースデー』を歌いました。感極まって僕は『疑心暗鬼ボンバー』の歌詞の最後に、ある言葉を足しました。……とまぁこんな感じに出来た訳です。」

客席「ざわ…ざわ…」