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――漆黒の月が宙に浮いている。
夜の帳に覆われていたはずの空は白銀色に染まっている。
まるでモノクロの世界。
生が存在することすら許されない、そんな空気すら漂う世界。
声が出ない。目の前の現実<リアル>を脳が必死に理解しようとするが、心が受け付けない。
何故、何故、何故―――
意味の無い疑問が頭の中を渦巻く。
そして―――
「えっ……」
目の前、広場の中央。
先程まで何も無かった場所に、黒くうごめくナニカがいた。
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