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「おかしいだろ?」
作曲の最中、部屋にやってきた魅樹に愚痴を溢す。
「ま…あり得ない話じゃないけどさ…」
困惑気味の魅樹をよそに、俺は話を続けた。
「こっちは、奥まで洗ってさぁどうぞな体制なんだ。だけど、あいつは1回させたきりで、後は得意の理屈並べて逃げてばかり。まったく、理不尽だ」
「絋…随分露骨だなぁ~ファンが聞いたら、卒倒するよ」
「恋愛にファンも何もあるかよ。こっちは重要課題なんだよ」
「俺にしたら、磨久の気持ちもわかるけどね…」
魅樹は紫唖との関係を言ってるんだろう。
確かに…紫唖が俺みたいな事考えるとは思わないけど。
それにしたって…男の恋人が居て、どっちがする側される側が男女の交わりのように当然の如く決まってるのっておかしくないか?
俺と磨久が付き合いだした時は、みんな俺のビジュアルで決めつけたけど、俺はれっきとした♂だ。
したい時だってあるんだよ。
「魅樹は無理か?やっぱり」
「俺!?…あぁ…無理」
「まったく、好きだったらどっちだっていいじゃん」
「落ち着きなよ、絋。磨久はほら、なんていうか筋が通ってないと、駄目でしょ?だから、まだ納得出来ないんじゃない?絋みたいに、気持ちだけで動けないんだよ」
そんな事、言われなくたってわかってる。
だから、腹立つんだろ?
もしかして…俺の好きとあいつの好きが交わってないんじゃないかってさ…。
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