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(…あれは…学校の…?…)
ぼんやりと見えてきた下駄箱は私の通う高校の下駄箱だった。
白い壁。窓際に設置された公衆電話。緑の廊下。そして、学年別に整然と並べられているスチール製の鍵付きの下駄箱。
所々歪んだり、凹んだり、閉じなくなったものがあるものの、いつも使用している下駄箱に間違い無かった。
さっきまで遠くにあった筈の下駄箱は気付くともう目の前にあり、壁越しに見えていた玄関口も壁を通り越して見える。
まだぼんやりとした視界に入るものはそれだけだった。
…まだ聡子はいない…
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