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雨が上がった。
一人ぼっちの喫茶店。
ざわざわ、声がし始めて、
人々は街を歩き始める。
もう、何日経っただろうか。
二之が告げた終わりは
未だに僕の感情を奪う。
会えなくなるなんて、さ。
考えてもみなかった。
近くにいて当たり前な人。
連絡を取るくらい、簡単だった。
目を閉じれば、まだ二之がいる。
「匠ちゃん」
「ハァ、だからあんたは…」
「んふふ、幸せだね」
あの日、あの時間、あの場所―
切なくなるのを承知で
繰り返し思い出していた。
こんな日が来るなんて、
わかっていたはずなのに。
冷めたコーヒーを口に運ぶ。
苦さがますます際立つ。
これが、大人なのだろうか。
自分が、子供なのだろうか。
人々の群れから目を離す。
コーヒーに映るそれに気付いて
窓の外に目を向けた。
そこから見えるかな?
虹が、キレイだよ。
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