きっと幻じゃない

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楽屋。 2人っきりの、楽屋。 …と言っても匠ちゃんは 夢の中ですが。 相変わらず無防備。 相変わらず鈍感。 きっと僕の気持ちにも 全く気付いてないんだろうな。 結構大胆にやってる つもりなんですがねぇ。 匠ちゃんの説明書、 どっかに売ってないかな。 しばらく休んでないのだろう。 規則的な寝息をたててる。 ここでキスの一つでもできたら。 そんな関係になるには 一生かかるかもしれない。 振り向いてくれる可能性なんて 0に近い。わかってる。 それでも思いは止められなくて。 「――――二之ぉ。」 いきなり喋った匠さんに 思わず体が動いた。 見てたのバレた? 「な、何?」 ヘタレか、って言うくらい 声が震える。 「んふふ、好きぃ。」 え? 今、なんて? 「匠さ、」 立ち上がってよく見てみると。 …この人、寝てるの? え、ただの寝言?勘違い? え? え? え? でも、なんかね。 可能性が見えた気がして。 夢なんかじゃ、ないよね? 気のせいじゃ、ないよね? 嗚呼、心臓が煩い。
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