16.動揺

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「長かったね。電話」 携帯をテーブルに置くと沙祐美が自分の食器を洗いながら言った。 「あぁ、おかげでやっと考えがまとまったよ」 迷うだけじゃダメだ。行動あるのみ。今までもそうやって来たじゃないか。 「そっか。ならよかった。お兄ちゃんさっきより良い顔してるよ」 こちらに顔を向けてニコッと微笑む。あぁ……癒されるなぁ。 「そうか?」 「うん。それでどうするの?」 沙祐美が首を傾げて聞いてくる。 「あぁ、とりあえず帰りに朱音の家に行ってみる」 そして、直接聞く。やる事はこれが一番だ。 「そうだね。なら早く食べちゃいなよ。学校遅れちゃうよ?」 「そうだな!!」 オレは急いで飯をかき込んだ。 ―――――――――――――――――― ―――雅side 「オジョウサマ。ドウデスカ?」 「えぇ、イマイチですわね。わたくしの引っかかる事に関連した情報が見つからない」 マイケルが入れてくれたコーヒーを片手にそう返す。 この引っかかる事さえ、何か分かれば……。 耿介様から聞いた朱音さんの言葉、そして耿介様の過去……。 「オジョウサマ?コーヒーノオカワリイイデスカ?」 「えぇ、もう結構ですわマイケル。あなたはもう寝てくれていいですわよ」 するとマイケルは首を横に振った。 「イエ、オジョウサマガテツヤデガンバッテイルノニワタシダケヤスムワケニハ。ソレニボブモガンバッテオリマスシ」 ニコリと白い歯を見せて爽やかに笑った。 「感謝しますわ。マイケル」 「モッタイナイオコトバデス」 そんなやり取りをしていると部屋のドアが急に叩かれた。 「ボブ?」 「ハイ、ボブデス。オジョウサマヨロシイデスカ?」 少し急いだような声と共にボブが部屋に入ってくる。 「どうしましたの?ボブ。そんなに急いで」 「ハイ。オジョウサマナニモイワズコレヲ」 ボブはある物を机に出した。
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