第一章

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 彼らの格好は何でも屋らしくなく、全員黒スーツでサングラスを掛けていると言う怪しい出で立ちだ。更に一人一人特徴があり、一人は飛び抜けて身長がでかく(軽く2メートルはありそうだ)一人は飛び抜けて身長がちっちゃくて(確実に170は無い。寧ろ160を越しているかが疑問だ)一人は筋肉質で(一瞬どこかの格闘家かと思った程)一人はパッと見女の人みたいに綺麗で(まぁ、ひょろっとしているとも言う)最後の一人は普通の外見なのだが、後の4人が個性的過ぎて寧ろこの5人組の中では一番異色だと思った。  実習と言っても第一回目なので学校の教室を借りてこれからの諸々の説明やらをするらしい。因みに此処は数学室。主に理系の進学組の人達が使う教室なので、就職組の僕には縁もゆかりも無いところだ。 「原岡……雄大君で良いんだな?」  ――びくっ!! ちっちゃい人にいきなり名前を呼ばれたのでびっくりしてしまった。 「あぁ、驚かせて悪かったな」 くすくすとちっちゃい人が笑う。その隣では一番普通っぽい人が「この格好じゃあ緊張するのも無理はないからね」と続けて笑う。いや、寧ろ苦笑い。 「誰だよ、この格好で行こうなんて言った奴」 筋肉質の人が文句を言う。その後に「キツいんだよォ」と言っていたからなんだか可愛そうに思った。 「さぁ?別に誰でも良いよ」 さも興味が無さそうにでっかい人が面倒くさそうに言う。でもそんな彼もスーツの丈が合って無さそうなので動きにくそうにしていた。 「全く、少しは大人しくしたらどうだい?これから説明しなきゃならないんだからさ」 女の人みたいな人が皆を(と言っても主に筋肉質の人を、だけど)諭すと教室は静寂に包まれた。
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