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しばらくして、境内の箒掃き、拝殿・本殿の雑巾がけを終わらせた少女は、眠りこけている鬼の傍ら、縁側で茶をすすっていた。 湯飲みから立ち上る湯気が一瞬、少女の視界を覆い隠した―― 「霊夢」 ハッとして、顔を上げた。今、誰かが私の名を呼んだような。傍らの鬼をちらりとみると、眠りこけていたはずの鬼もまたちらりと目を開けていた。が、すぐに鬼はごろりと寝返りをうつと再び眠りだした。 まあ、多分彼奴の仕業だろう、と霊夢は結論付けて、煎餅に手を伸ばす。齧るとぱりん、と景気のいい音がした。 ちらりと後ろを振り返ると、時計の針はそろそろ10時をさすところ。11時に人里で人と会う約束があった霊夢は、さて、と立ち上がる。 寺子屋の半白沢は時間にうるさい。少し早めに出ることに越したことはない、と考えて霊夢は衣服の皴を整えて、手早く湯飲みを片付ける。 そしてふわり、と空に舞い上がった。
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