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視界いっぱいに広がる色彩。あちらこちらと見回すと、点々と続く桃色に、白と茶と、青々とした緑のコントラスト。 ――この美しい景色も、最早幻想でしかないのだろうか。 そう考えると、なんだか寂しくなった。ふるふると首を横に振る。考えるだけ無駄だし、なにより悲しくなる。 しばらく飛ぶと、人里が見えた。だんだんと、高度を下げる――ちょうど門の前に降り立つように。 槍を携えた門番に声をかけて、霊夢は人里の中へと足を踏み入れた。――人里。幻想郷の中でも活気のあるそこは、しかし気のせいか人が少なく見えた。とはいっても、『なんとなく』そう思えるだけで、実際はいつもどおり人通りも多く、にぎわっていた。並ぶ店の主人と客のやり取り、通りを行きかう人々の話し声、花屋の前で微笑む妖、豆腐屋の前の九尾の狐、薬売りの兎と見習いの黒髪の少女等。本当に何も変わらない、いつも通りの光景。 頬をばちんとたたいて、霊夢は歩みを進めた。半ば人の流れに流されつつも、何とか逆らって目的の場所へと向かう。 数分後、霊夢は寺子屋の前にいた。
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