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「じゃあ、私のところに来ればいい」
霊夢は強い口調で言った。
「……それは不可能だ」
幼い霊夢が、青年の手を取った。
「無理だと言うなら、私がここへ来てあげる」
霊夢の小さな手のひらに握られた自分の手を見て青年は、すっと、その手を引いた。引いたその手で、霊夢の頭を不器用になでる。青年は顔をくしゃくしゃにして笑っていた。
「ああ、おいで、吾はいつでもここにいる。お前を待とう」
今度は青年が、霊夢の手のひらを両の手で包んだ。「開けてご覧」との声に、霊夢はゆっくりと手を開く。
その紅葉の手に包まれていたのは、小さな鏡。神棚に飾るような。「これは……?」霊夢は青年の顔を見た。
「これは鍵。これがこの地へと導く導になろう」
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