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千石学院入学式から2ヶ月が経った。 高校生2ヶ月目ともなれば、それぞれ部活に精を出したり勉学に勤しむ者も出てくる。要は学院の雰囲気に慣れてくるのだ。 しかし、その一方で慣れない人間もいるわけで、当然ハブられたりイジメを受ける者も出て来る。 その集団の中に、一際異彩を放つ6人組がいた。 「なぁ、明日休みだろ?またMovieでも見に行かね?」 時折英語を交えて話すこの少年は伊達政宗。 金色の竜を描いた青ネクタイと右目の黒眼帯が印象的な政宗は日本でも有数の大企業「伊達組」の社長・伊達輝宗の長男……つまり御曹子である。 「あー悪りぃ!明日は秀吉と半兵衛で出掛けるんだよ」 「そういうことだ。悪いけど僕もいけないや」 山吹色のネクタイに紫のお守り、男子にしては長い髪を持つ少年は千石学院の名物夫婦─前田利家とまつ─の甥っ子・前田慶次。 白いスラックスに藤色のネクタイ、紫縁の眼鏡をかけた白髪の華奢な少年は竹中半兵衛。 「俺もパス。明日は毛利ン家と俺ン家で食事に行くんだ」 「我は映画は好かぬ」 家族ぐるみで付き合っている長曾我部元親と毛利元就。 長身で銀髪に左目の眼帯、紫に銀糸で波を表した模様入りのネクタイを付けているのが元親、袖が異常に長いシャツに若草色のネクタイを結んだ、茶髪の少年が元就である。 「某も明日はちょっと……」 シャツの前を開け─中のTシャツは赤に金で六文賎─長い襟足を結った少年は真田幸村。 余談だが、彼等が今いる所は千石学院の生徒会室。 彼等は1年生にして、生徒会の重役を担っていた。
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