異変

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カァ、カァ。 カァ、カァ、カァ。 カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ。 カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ、カァ。 カァ、カァ。 五月蝿い。 耳がはち切れそうなくらい五月蝿い。 一体何匹いるんだ…? 学校のグラウンドは、鴉で埋もれていた。 気持ち悪い。 沢山の黒がうじゃうじゃ動いてて、目がチカチカする。 一気に視力が悪くなりそう。 …ん? グラウンドの中心が少しだけ円形にスペースがある。 二匹の鴉…。 乱闘でもしているのか、その二匹の鴉は取っ組み合いをしている。 俺は今、グラウンドを縁取るフェンス越しにグラウンド内を見ていた。 ここからじゃ遠すぎてあまり見えないから目を凝らして見た。 グァア、ガァ! いきなり一匹の鴉が悲鳴に似た鳴き声をあげた。 「なっ、何が…?」 見えない。 見たい。 見たい。 見えない…。 教員達がこの異常な光景を職員室から窓を開けて見ている。 「どうなっているんだっ!!」 校長の恐怖の混じった震える声がここまで聞こえる。 そんな事はどうだっていい。 どうなったんだ? あの二匹の鴉。 見せてくれ。 見せてくれ! バサバサバサバサッ! バサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサッ! バサバサバサバサッ! 「うわっ!?」 一気に視界が闇に包まれる。 聴覚も鴉が羽ばたく音に犯される。 何も見えない。 何も聞こえない。 「あ…。」 いつの間にかに空っぽになったグラウンド。 沢山の抜けた羽で黒く染まっている地面。 「何がっ…。」 あ…。 一つの黒い塊が俺の目に入った。
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