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動物病院に着いて、まず最初はやっぱり獣医さんに驚かれた。
けどすぐに処置してくれて、「もう大丈夫。」と言ってくれた。
取り敢えずほっとして、待合室に設置されている椅子に腰掛けた。
あ、金あったっけ…。
無我夢中で金の事なんて気にしてもいなかった。
どうしようかな。
なんて考えてたら、獣医さんか口を開く。
「いや~、しかし懐かしいなぁ。白い鴉がここに連れてこられたのは久しぶりだよ。」
「えっ?」
この獣医さん、知ってんのか!?
「獣医さん、白い鴉を診た事あったんですか?」
何でもいいから、知りたい。
ほんの少しだけでもいいから知りたい。
「何か知ってたら教えて下さい!」
俺が叫んだせいで獣医さんは大きく目を開けて驚いてしまった。
けどすぐに微笑んでくれた。
「僕が診たのではないけれど、僕の父さんがまだここで働いていた時に、君みたいな高校生が目に怪我をした白い鴉を連れてきた事があったんだ。」
「えっ?」
目に怪我?
じゃあこいつと一緒じゃないか…!
「僕はちょうどその時父さんの仕事を手伝ってたからよく覚えているよ。」
獣医さんはそう言って、カルテが沢山入っている棚から一枚の紙を取り、俺に渡してくれた。
「僕もそのあと君みたいに気になってね、色々調べたんだよ。」
渡された紙を見ると上方に大きめな字で、『○○町言い伝え』と書いてあった。
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