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え?
何で?
「お前…。」
俺の目に写るのは、片目が開いていない白い鴉。
つまり、さっきまで俺が動物病院まで運んでやった奴。
こいつめ…俺を睨んできやがる。
「お前、俺が助けてやった事覚えてないのか? やっぱあれか、鳥頭だから覚えてるはずがないか!」
馬鹿にしてやった。
当たり前、通じない。
「………。」
カァとでも鳴けよな。
無言の空気がどれだけ辛いものか解ってんのか?
鴉と喋ってるなんて、隣のおばさんに見られてたら、俺立ち直れないよ?
「どっか行けよ。それが嫌ならお前の事を詳しく聞かせろ。」
『じゃあ言おう。この街は危険だ、逃げろ。』
「えっ!!??」
今喋ったの鴉?
…いや、違う。
「……拓也。」
「いやぁ、ねぇ? 何かさ、お前ちょっと残念な子になってたからフォローしてやったんだよ。」
ドアの方に振りかえると、笑っている拓也の姿。
「誰もフォローなんて頼んでない。てか、いつ入った?」
「いまさっき。お前今日元気なかったからよぉ、ちょっと様子見に来たんだ。」
「逆に迷惑。」
即答してやった。
もちろん嘘。
俺はそこまで酷い奴じゃない。
「うっわ、サイテ~。」
「冗談だよ、じょーだん! 俺そんな奴に見える?」
「おう。」
即答しやがった。
「うっわ、ひっど~。」
きっと嘘だろう。
俺はそう信じる!
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