雨月という名の

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 夜、雨が降っていた。  雲は月を囲むように円をつくり群がっていて、月の光を地に降り注がせていた。   「今夜は雨月(うげつ)か」    サー…と降り続ける雨の中、少女が呟いた。  暗い灰色の髪が雨に濡れて顔に張りつくが、少女はそれを全く気にも止めない様子で月を見つめている。髪と同じ色をした瞳を大きく開き、はじまりを待っていた―…。  
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