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僕はごくりと唾を飲み込み、草に紛れて息を殺していた。
この小さな公園を一望できるこの草かげは僕の特等席だ。
眼前には一人のロ……女の子がいた。
地毛だと思うけど、茶色の髪を可愛らしいさくらんぼのついたゴムで二つに留めている。もこもこのピンクのセーターに赤いスカートがよく似合っていた。
一人で黙々と砂のお城を作り、それはお城というよりお山なんだけど、とにかく一生懸命だった。
女の子は隣に置いている赤いバケツを見て水が入っていないのを確認すると、そのまま立ち上がった。
とてとて、と歩いていた女の子だったが、石につまづいたのか見事に転んでしまう。
「ふぇー」
…………今だ!!
僕は草かげから飛び出す。すぐさま女の子に かけより、傷の具合を確かめる。膝小僧からは鮮血が滲んでいた。
「これは……擦りむいてやがる! なんて固い地面なんだ! 公共施設なのにこんな危険なトラップをそこら中に張り巡らせて、この公園を造ったやつは狂ってやがる!」
ホント信じられないよ! 関係者は血の通ってない悪魔に違いない!
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