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涙を流すことを忘れた女の子がきょとんと目を丸くさせる。
僕はその子の頭を優しく撫でながら言った。
「安心してね、ロ……お嬢ちゃん。お兄ちゃん運よく絆創膏とか傷薬とか持ってるからすぐに治してあげるね」
にこやかに笑いかけて、僕のリュックに入れておいた水筒を取り出して天然水を女の子の膝小僧にかけてあげる。
「ふぇ!」
「ああ! 痛いんだね! ごめん、ごめんよ! すぐに終わるから泣かないで!」
僕の必死の励ましに女の子は力強く頷き、口を閉じる。……なんて、いい子なんだ!
慣れた手つきで治療して、最後に可愛らしい絆創膏を張り付けてオペは終了した。
「よく頑張ったね」
「えへー」
ポケットから小さなあめ玉を取り出して女の子に差し出した。
「ご褒美……って手がどろだらけだね。お兄ちゃんが食べさせてあげるから口を開いて」
「あーん」
素直に口を開く女の子。妹に欲しいくらいだ。
あめ玉を女の子の口に投下。舌先でころころと転がしているうちに、女の子の表情も柔らかくなっていった。
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