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◇
「おい! ……きろっ! 起き……て!」
声変わりがまだ感じさせられないアルトボイスが僕の脳内に強く反響した。
ぐわんぐわん、と鐘が鳴ったかのような音で僕はすっかり目が覚めてしまった。
「姉さん、もうちょい寝かせてよ」
「な、てめえ姉ちゃんいるのか羨ましいなコノヤロウ! いや、なんかその自然体な口振りから察するにお前姉ちゃんに起こしてもらってる感が滲み出てやがる羨ましいなコノヤロウ!」
姉さんじゃない……? 一体誰だろ? 確認する気力もないけど。とにかく今は睡魔に身を委ねたい。願わくはロリ──幼女の夢でも見たいな。
「だから寝てる場合じゃねーっつの!」
今度はゆっさゆっさと体を揺さぶられる。
「止めてよ! ロリっ子の夢が見られないじゃないか!」
僕は思い切り上体を起こして、怒鳴った。怒鳴られた子──男はきょとんと驚いて僕を揺する手を止めた。見覚えはない、と思う。第一僕の家には女しかいないから男が起こしにくるなんてありえない。
願わくはロリ──幼女に起こしてもらいたいな。
「よ、よォ起こして悪かったな。だけどさぁヤバい状況なんだよね」
ヤバい状況? と尋ねる前に、この部屋の状況がおかしかった。
僕の部屋じゃない、というか、初めて見る部屋だった。壁紙は真っ白に統一されていて、床には段ボールが散乱している。
頭上三十センチには木目の天井があり、簡易ハシゴが取り付けられているところから、二段ベッドの下部分みたいだ。シーツも掛け布団も枕も真っ白だった。
「あれ……ここどこ?」
「やっぱりお前も気づいたらここにいた感じか」
「え、どういうこと?」
あれ、そう言えば僕何してたんだっけ? 何かとても大切なイベントがあったようななかったような……。
「あぁ!! 公園の天使!」
またはロリと言う。そうだ、僕はあの天使に会った後、悪魔みたいなボイン赤髪に何かされたんだよ!
と言うことはアイツが僕をここへ?
「いきなりどうしたんだ、公園の天使って?」
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