8人が本棚に入れています
本棚に追加
「実は……」
僕はこう切り出して公園での一件を話した。僕自身が単にロリ──幼女の話をしたかっただけなんだけど。
「お前が変態なのはひとまず置いといてだな、つまりお前も拉致られたのか。実は俺も赤髪に拉致られた……一体何が目的なんだ?」
「誰がイケメンだ!」
「言ってねえよ!? つかかすりもしてねえじゃねえか! そして後半は無視かよ、一番大事そうな話だっただろ!」
男はビシッ、と僕に指をさしながら鋭いツッコミを繰り出した。よくわからないけどうるさい人だな。
「ゴホン、てかさ、お前怖くないわけ? 一応俺たち拉致されたんだぞ? かなり平常心に見えるが」
「どうしよう。やっぱり僕屈強な男どもに穴という穴を塞がれてアッーー! ってなるのかな?」
「ならねえよ! 何嫌な想像させてんだバカかお前は? 初対面でなんだがお前はバカか!」
何て失礼な男なんだろう。この……ツンツン男? 特徴あんまりないな。この人。黒髪ツンツンしか目に入ってこない。ワックスでも使ってないとこうもツンツンしないんじゃないかな。
「僕はバカじゃない! そっちこそバカだ! バカって言ったやつがバカなんだぞ!」
「んじゃお前もバカだな」
「え……違うよ! 僕はイケメンだい!」
「自分で自分をイケメン言うな! ああ、もう疲れる。なんか拉致られたのどうでもよくなってきたぜ」
「僕のおかげだね」
「はいはいそうだなー。……はあ、俺は冬木鏡助。お前は?」
さっきまで床に座っていた男は、段ボールに腰を移しながら自己紹介をし始めた。別に悪そうなやつじゃないし、名前くらいいいかな?
「僕は遠夏孝文、なんか男と名乗り合うのってキモいね鏡助」
「いきなり呼び捨てかよ……まあいいけど。とにかく逃げることを考えようぜ孝文」
「呼び捨てしないでよ、馴れ馴れしい」
「お前がその流れを作ったんだろ!?」
あーあ、もう一度あの公園の天使に会えないかなあ。
最初のコメントを投稿しよう!