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「ってもどうすっかな……」
隣では鏡助が困惑した顔つきで呟いていた。かける言葉が見つからない。鏡助が幼女だったら何百ワードと見つかるけど。
とりあえず僕はベッドから出ることにした。二段ベッド特有の低い天井がどうも苦手みたい。
「お、案外小さいなお前」
そう言って並んで立ち上がった鏡助は僕より頭一つ分くらい高かった。
「並ばないでよ、気持ち悪い」
「俺ら被害者がそうやって言葉のナイフで傷つきあっちゃだめだろ! 悪かったよ睨むなよ! ほら、座ったから!」
「たやすい男」
「てめっ、ぶっ飛ばすぞ!?」
一旦座った鏡助は再び立ち上がり僕の胸ぐらを掴んだ。だけど僕もやられてばかりじゃない。すかさず舌を伸ばして鏡助の拳を舐める。しょっぱい、後悔する。
「し、信じられねえ。舐めやがった……」
わなわな、と舐められた箇所を見つめる鏡助は顔色が青い。胸ぐら掴みからは解放されたけど、何かムッとくるなこの反応。
「ほお、もう仲良しになったか」
と声の先にはあの赤髪がいた。開いた木製の扉に寄りかかって口元をつりあげている。やっぱりキザだなこのババァ。というか何でわざわざ胸が見えるようなワイシャツを来てるんだろう? 見て嫌な気持ちになる人がいるのか分からないのかな。
「お前っ俺を拉致した……!」
驚いた表情で鏡助が赤髪に指を指す。
「元気そうでなによりだよ冬木鏡助くん。そして遠下バカ文」
「あの痴呆ですかババァ? 僕は孝文です。いや呼んでもらいたくないですけど」
名前を間違えるなんてやっぱりババァだよ。あぁ、ババァがいるってことはあのロリっ子もいるのかな。
「ふむ、やはりまだ言葉の使い方がわからないみたいだな」
「ババァこそ、人の名前の覚え方、幼稚園児より下じゃん」
火花がほとばしるかのように僕と赤髪はにらみ合いを始める。よく分からないのけどこの人生理的に駄目だ。そして赤髪もそう思っているんだろう。
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