Episode 0

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  そんな青年の手を小さく振り払い、少女は言う。 「なぜ?兄さま!!! 2人で逃げて、この子を一緒に育てましょう?」 見ると、少女のお腹は少し膨れ上がっている。 そんな少女のお腹を愛おしそうに見つめながら、青年は言う。 「僕も…この子が元気に走りまわる姿を見たかった。」 「では、兄さまも一緒に―――」 少女がそう言ったとき、扉をドンドンと叩く音が聞こえた。 「ダメだ。もう敵がそこまできている。」 息を潜めながら青年が言った。 「僕は君が入った後、扉をしめて此処を守らなければ行けない。 分かるね?シャラ? 君が、その子を守るんだよ?」 ゆらりと微笑みながら、その透き通るような青年の青い瞳が名残惜しそうに少女を捉える。 ついで、手をそっと少女のお腹にあて、小さくキスをした。 「生まれてくるマリア。そして、可愛い僕のシャラ。 君たちのことは、これらからもずっと愛している。」 吸い込まれるように、2人の唇が重なった。 祈りをこめて青年は唇を離すと、 「どうか無事に逃げ切ってくれ!」 そう言った後、そっと少女を押して扉を閉めた。 『-星の雫-』 ~ホシノナミダ~  
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