9人が本棚に入れています
本棚に追加
Tシャツだけじゃない、靴下や下着類もまとめて洗濯機へポイ。
加えて土で汚れたツナギも入れる。
後は洗剤を入れてボタンを押すだけなのだがそれさえも億劫だ。
そのまま浴室に行き、軽くシャワーで汗を洗い流していく。
土木作業のバイトなんてやめてやる、と決意してから数年が経過しているが未だにそれは実現出来ていないし出来そうにない。
俺みたいな内向的かつ消極的な人間にはいらっしゃいませなんて気持ち悪い作り笑顔を浮かべるより黙々と作業を続ける方が楽だということを痛いくらい知っているからな。
夜勤明けの頭で考えることが出来たのはそこまでだった。
浴室を出て身体を拭き、髪を適当に乾かし、替えの衣類に袖を通したところで眠気が限界まで達する。
洗濯機のボタン押さないと…まぁ、後でいいか。
そう妥協してベッドにへと倒れ込む。
待ち焦がれていた柔らかな感触、まさに至福の時というべきだろう。
「二次元の世界にでも行けないかね」
棚に収まった涼宮ハルヒの憂鬱というアニメのDVDをチラリとだけ見てそんな途方にもない妄言をポツリと呟く。
そしてそのまま欲求に負けて数十秒後には夢の世界にへと旅立ったわけだがそれが本当の意味での旅立ちであることをこの時の俺は当然知るよしもなかった。
最初のコメントを投稿しよう!